Shopifyで始める、アメリカ向けの越境EC
Shopifyなら、1つのストアでドル建ての価格、英語のページ、関税の徴収まで設定できます。ただし、アメリカ向けの条件は2025年から大きく変わりました。設定の手順と、日本の事業者が自社で整えるべきことをまとめました。
Shopifyで越境ECはできるのか
できます。Shopifyの全プランに、Shopify Marketsによる国ごとの販売設定、現地通貨での価格表示、ストアの翻訳、国ごとのドメイン、関税と税金の見積もりと徴収が含まれています(現地通貨での表示にはShopifyペイメントが必要です)。いま国内向けに使っているストアに、アメリカのマーケットを追加する形で始められます。
注意したいのは、アメリカ向けの条件が2025年から変わったことです。800ドル以下の荷物の免税措置が停止され、少額の荷物にも関税がかかるようになりました。また、日本のストアはShopifyのManaged Marketsを使えないため、関税、売上税、配送、製品の規制は自社で整える必要があります。このガイドでは、その4つを順に説明します。
越境ECと国内ECの違い
越境ECは、海外の消費者にオンラインで直接販売することです。商品ページや決済の仕組みは国内ECと同じですが、売り手が担う仕事が次のように増えます。
- 通関と関税:商品ごとにHSコード(関税分類の番号)と原産国を特定し、関税を誰が払うかを決めます。
- 販売先の税金:アメリカでは、売上税(セールスタックス)の決まりが州ごとに異なります。
- 国際配送と返品:配送方法によって、関税の払い方と購入者の受け取り方が変わります。
- 言語と通貨:英語のページと、ドル建ての価格が必要です。
- 販売先の法律:製品の安全規制や表示のルールは、販売先の国のものが適用されます。
越境ECで使うShopifyの機能
次の表は、アメリカ向けの販売で使う主な機能と、使えるプランをまとめたものです。Shopifyの日本向け料金ページとヘルプセンターの国際販売ツールをもとに、2026年10月19日に確認しました。
| 機能 | できること | 使えるプラン |
|---|---|---|
| Shopify Markets | アメリカを1つのマーケットとして作り、価格、言語、ドメイン、決済をまとめて管理します。 | 全プラン |
| 現地通貨での価格表示 | 価格をドルで表示し、チェックアウトもドルで決済します。為替レートは自動換算か手動設定を選べ、端数処理もできます。 | 全プラン(Shopifyペイメントが必要) |
| ストアフロントの翻訳 | 英語のページを追加します。ヘルプセンターはTranslate & Adaptアプリを案内しており、手動でも翻訳できます。 | 全プラン |
| 現地のドメイン | example.com/en-us のようなサブフォルダ、サブドメイン、国別のドメインを割り当てます。hreflangタグは自動で作られます。 | 全プラン |
| 関税と税金の見積もり・徴収 | チェックアウトで関税と輸入税の見積額を受け取り、配達時の思わぬ請求を防ぎます。 | 全プラン |
| 地域ごとのストアのカスタマイズ | 地域によってストアの内容を変えます。 | Advanced以上 |
| Managed Markets | Global-eが記録上の販売者(Merchant of Record)となり、税の登録と納付、現地の決済方法、関税の管理などを代わりに担います。 | アメリカ本土のマーチャントと、カナダとイギリスの一部のストアのみ。日本のストアは対象外 |
最後の行が、日本の事業者にとって重要な点です。ヘルプセンターのManaged Marketsの説明によると、Managed Marketsを使わない場合、多くのマーチャントは自社が記録上の販売者になります。その場合、税の登録と納付、現地の決済方法の用意、配送の手配はマーチャント自身の責任です。
Shopifyで越境ECを始める費用
費用は、Shopifyの利用料、決済の手数料、ストアの構築費、そして注文ごとの関税と送料に分かれます。Shopifyの料金は、日本向け料金ページに表示されている金額です(2026年10月19日確認)。表示は閲覧する地域によって変わることがあるため、契約前に管理画面でも確認してください。
| 項目 | 金額 | 補足 |
|---|---|---|
| Shopifyの利用料(月額) | Basic 3,650円、Grow 10,100円、Advanced 44,000円(いずれも年払い)、Plus 368,000円から | 越境ECの基本機能は全プランで使えます。 |
| 海外カードの決済手数料 | Basic 3.9%、Grow 3.85%、Advanced 3.8%、Plus 3.75% | アメリカの購入者のカードには、海外カードの料率が適用されます。 |
| 通貨換算手数料 | 2% | 入金通貨(円)と異なる通貨で決済を受けたときにかかり、返金しても戻りません。日本は一覧に個別の記載がなく、「その他すべてのShopifyペイメントの地域」の料率に当たります。 |
| 外部決済サービスの取引手数料 | Basic 2%、Grow 1%、Advanced 0.6%、Plus 0.2% | Shopifyペイメント以外の決済サービスを使う場合にかかります。 |
| 関税を計算する注文の手数料 | 0.5%(一時的な料率) | 通常は、Shopifyペイメントの利用時で0.85%、ほかの決済サービスでは1.5%です。2025年2月2日からすべてのストアで一時的に0.5%に下がっており、終了日は示されていません。テスト注文も対象です。 |
| ストアの構築費 | テーマストアのテーマで5,000〜15,000米ドル、独自テーマで15,000〜50,000米ドル | 当サイトの英語の費用ページにある、アメリカ市場の相場です。 |
出典は、Shopifyの料金ページ、通貨換算の手数料、関税の徴収の各ページと、当サイトのShopify構築費用のページ(英語)です。
国内の販売と比べると、決済だけで数パーセントの差が出ます。アメリカ向けの価格は、商品原価に関税、国際送料、決済と換算の手数料を足した金額から逆算して決めましょう。構築費の考え方と依頼先の比べ方は、ガイド「Shopify構築の費用」で詳しく解説しています。
関税:少額の荷物も課税の対象に
アメリカには、800ドル以下の荷物を免税にする「デミニミス」という仕組みがありました。Shopifyヘルプセンターによると、2025年8月29日からアメリカ向けの荷物にはデミニミスが適用されず、金額にかかわらず関税と輸入税がかかります。
米国税関・国境警備局(CBP)も、電子商取引のよくある質問(英語)で、800ドル以下の商品の免税停止は郵便を含むすべての輸送手段に適用されると説明しています。
関税率は商品のHSコードと原産国で決まり、ヘルプセンターでは一般に0%から40%超までとされています。日本から送る商品に何%かかるかは、商品ごとに通関業者や配送業者に確認してください。
関税を配達時に購入者が払う形にすると、購入者にとっては予期しない請求になりかねません。Shopifyでは、チェックアウトで関税と輸入税の見積額を受け取れます。ヘルプセンターがアメリカ向けに勧めている準備は次のとおりです。
- すべての商品にHSコードと原産国を登録する。HSコードのない商品は、説明文やカテゴリから推定されるため精度が下がる。
- 価格を見直し、チェックアウトで関税を受け取るかどうかを決める。
- DDP(関税込持込渡し)に対応した配送ラベルを検討する。
- 配送ポリシーと返品ポリシーを更新する。
- アメリカ向けのチェックアウトをテストする。
売上税:日本の事業者にも州ごとの義務がある
アメリカの売上税(セールスタックス)は、州ごとに決まりがあります。納税の義務を生む州とのつながりを「ネクサス」と呼び、州内に倉庫、従業員、在庫などがあることによる物理的ネクサスと、州内の購入者への売上が基準を超えることによる経済的ネクサスがあります。
Shopifyヘルプセンターは、2018年6月の米連邦最高裁の判決で、州がオンラインの売り手に売上税の徴収を求められるようになったと説明しています。経済的ネクサスのルールはアメリカの購入者に販売するすべてのマーチャントに適用され、アメリカ国外のマーチャントも含まれます。
基準となる売上の額は州ごとに異なります。基準を超えた州では、その州の税務当局に登録してから、Shopifyで売上税の徴収を設定します。どの州で登録が必要かは、アメリカの税務に詳しい専門家に確認してください。
ヘルプセンターの税務サービスの比較によると、納税申告を自動で行う機能は、アメリカに拠点を置くストア向けのShopify Taxにあります。日本を含むその他の国のストア向けの税務サービスには含まれていないため、州への申告と納付は自社で行う前提で準備しましょう。
配送:日本郵便の引受状況を確かめる
日本郵便は、デミニミスの停止を受けて、2025年8月27日から米国宛ての郵便物の一部の引受を停止しました。対象には、小形包装物、小包、EMS(物品)で送る消費目的の販売品が含まれていました。
その後、2026年4月14日から、米国と米国海外領土宛ての一部の郵便物について、指定郵便局での引受を再開しました。さらに2026年10月15日からは、引受を原則としてすべての郵便局に広げています(国際郵便を扱わない簡易郵便局を除く)。
書状と郵便葉書を除き、2,500米ドル以下の物品を含む郵便物は、CBPが認証し日本郵便が推奨する事業者(ZonosとSafePackageの2社)のアプリなどで、事前申告の登録が必要です(日本郵便、2026年10月14日付のお知らせ)。
条件はこの1年で何度も変わっています。郵便で送る場合は、発送の前に日本郵便の最新のお知らせを確認してください。
配送業者は、通関手続きの手数料を別に請求することがあります。ヘルプセンターによると、この手数料は税関が請求するものではなく、チェックアウトでは計算されません。送料、関税込みかどうか、返品の条件は、配送ポリシーに明記しておきましょう。
製品の規制:CPSCの電子申告と食品の事前通知
米国消費者製品安全委員会(CPSC)は、規制対象の消費者向け製品について、製品安全証明書データの電子申告(eFiling)を義務付けました。ヘルプセンターによると、この義務は2026年7月8日に発効し、価格に関係なく規制対象商品のすべての商用の荷物に適用されます。少額であっても免除されません。
対象には、おもちゃと子ども向け製品、ひも付きの子ども服、マットレス、電池式の製品などが含まれ、HSコードで判断されます。Shopifyの管理画面では商品ごとにCPSCの参照IDを登録できますが、申告は通関業者や配送業者が行い、Shopifyは代行しません。
食品を売る場合は、米国食品医薬品局(FDA)への事前通知(Prior Notice)が必要です。FDAの説明(英語)によると、動物用の飼料を含む輸入食品は、FDAへの事前通知が法律で義務付けられています。
ほかの商品にも別の規制がある場合があります。自社の商品が対象かどうかは、通関業者やコンプライアンスの専門家に商品ごとに確認してください。
アメリカの購入者に向けたストアづくり
機械翻訳は下書きには役立ちますが、アメリカの購入者に見せる商品ページは、英語で書き直すことをおすすめします。サイズはインチ、重さはポンド、価格はドルで示し、送料、関税、返品の条件はチェックアウトの前に伝えましょう。
ドメインは、サブフォルダがいちばん手軽です。ヘルプセンターも初めての設定にはサブフォルダを勧めています。hreflangタグは自動で作られ、サイトマップには公開中のすべての言語が含まれます。ドルで販売する場合は、購入者が国を選べる国セレクターも設置しましょう。
アクセシビリティも設計に含めましょう。米国司法省は、事業者がオンラインで提供する商品やサービスにもADA(障害を持つアメリカ人法)の要件が及ぶという立場です。事業者向けの詳細な技術基準を定めた規則はなく、WCAGなどの既存の基準が参考になるとしています(2022年3月18日付のガイダンス(英語))。自社が対象になるかは、アメリカの弁護士に確認してください。
Shopifyで越境ECを始める手順
国内向けのストアがすでにある場合の、アメリカ向けの始め方です。上から順に進めると、後から設定をやり直す手間が減ります。
- 商品ごとに、HSコード、原産国、CPSCやFDAなどの規制の有無を確認する。
- Shopify Marketsでアメリカのマーケットを作り、ドル建ての価格と端数処理を決める。
- 英語の商品ページ、配送ポリシー、返品ポリシーを用意する。
- サブフォルダなどのドメインを割り当て、国セレクターを設置する。
- 関税と輸入税をチェックアウトで受け取るかどうかを決め、受け取る場合はDDPに対応した配送方法を選ぶ。
- 売上税の登録が必要な州を専門家と確認し、登録した州だけ徴収を設定する。
- アメリカ向けのチェックアウトでテスト注文をする。関税を計算するテスト注文にも手数料がかかる点に注意する。
自分で進めるか、パートナーに頼むか
テーマストアのテーマを使い、商品数が少なく、規制の対象になる商品もなければ、マーケットの設定はご自身でもできます。Shopifyヘルプセンターが、日本語で手順を案内しています。
一方で、多数の商品にHSコードと原産国を一括で登録する作業、英語の独自テーマ、アメリカの倉庫や物流サービスとの連携、在庫管理や基幹システムとのつなぎ込みが必要なら、開発者に頼む価値があります。依頼先を比べるときは、次の点を確かめてください。
- アメリカ向けのチェックアウトで、関税込みの注文をテストする工程が作業範囲に入っているか。
- HSコード、原産国、CPSCの参照IDといった商品データの登録を、誰が担うか。
- 税と通関の判断を、税理士や通関業者に任せる前提になっているか(制作会社はその代わりにはならない)。
- 公開後の保守と、制度が変わったときの見直しをどう進めるか。
制作会社とフリーランスの違いは、ガイド「Shopify構築の費用」で比べています。
Digital Heroesがお手伝いできること
Digital Heroesは、Shopifyの「Selectパートナー」です。アメリカのマーケットの設定、英語のテーマの構築やカスタマイズ、商品データの整備、関税の徴収の設定、アプリや物流サービスとの連携を担当します。税の登録、通関の申告、法律の助言は行いません。
エンジニアはインドのデリーとラクナウで、経営陣はニューヨークで働いています。日本国内に事務所はなく、プロジェクトはリモートかつ英語で進めます。サイトのLive Chatには日本語で書き込めます。チームからの返信は、お使いのブラウザの言語に自動で機械翻訳されます。
お問い合わせには専任のチームが対応し、Live Chatでチームと直接やり取りできます。フォームからのお問い合わせには、24時間以内にメールで返信します。インドのチームに開発を任せる仕組みは、ガイド「オフショア開発」で解説しています。
お支払いの方法
請求は米ドル建てです。お支払いの形式は、案件に合わせて次の3つから選びます。
- 範囲を確定した案件:着手前に着手金をお支払いいただき、その後は合意したマイルストーンごとにお支払いいただきます。
- 月額の保守契約:公開後の保守と改善の費用を、月ごとにご請求します。
- 専属チーム:貴社専属の開発チームの費用を、月ごとにご請求します。
海外の事業者への支払いにかかる消費税の扱いは、顧問税理士にご確認ください。当社からはお約束できません。
公開できる実績
公開の許可をいただいた案件だけを紹介し、成果の数値は載せていません。3件ともShopifyストアではなく、ソフトウェアとアプリの開発例です。
- SpeedyPrint(2026年):南アフリカの印刷通販サイトです。ブラウザ上のデザインエディター、CSVを使った可変データ印刷、校正の確認、PayFastでの決済を備え、Next.js、React、TypeScript、Supabaseで開発しました。
- Planivo(2026年):病院やクリニック向けの人員計画プラットフォームで、全体を開発しました。planivo.me(英語)
- AirTrainr:アスリート向けとトレーナー向けのモバイルアプリで、React Native、Expo、Supabaseで開発しました。airtrainr.com(英語)。アプリの進め方は「アプリ開発」のページで紹介しています。
第三者の評価として、Clutchでは66件の検証済みレビューで5.0の評価をいただいています(2026年10月13日確認、Clutchのプロフィール(英語))。これまで40か国以上のお客様と仕事をしてきました。会社の概要は日本語のホームにまとめています。
よくある質問
Shopify(ショッピファイ)で越境ECはできますか?
できます。全プランで、Shopify Marketsによる国ごとの設定、ドル建ての価格表示(Shopifyペイメントが必要)、英語への翻訳、国ごとのドメイン、関税の見積もりと徴収が使えます。ただし、アメリカ向けでは、関税、州ごとの売上税、配送、製品の規制を自社で整える必要があります。
日本のストアでもManaged Marketsは使えますか?
使えません。Shopifyヘルプセンターによると、Managed Marketsを利用できるのはアメリカ本土のマーチャントと、カナダとイギリスの一部のストアだけです(2026年10月19日確認)。日本のストアは自社が記録上の販売者となり、税、決済、配送を自社で手配します。
アメリカ向けの少額の荷物にも関税はかかりますか?
かかります。Shopifyヘルプセンターによると、2025年8月29日からアメリカ向けの荷物にはデミニミス(800ドル以下の免税)が適用されません。CBPも、この免税停止は郵便を含むすべての輸送手段に適用されると説明しています。税率は商品のHSコードと原産国で決まります。
アメリカの売上税は、日本の事業者にも関係しますか?
関係します。Shopifyヘルプセンターは、経済的ネクサスのルールがアメリカ国外のマーチャントにも適用されると明記しています。州内の購入者への売上が州ごとの基準を超えたら、その州に登録してから徴収を始めます。判断はアメリカの税務に詳しい専門家に確認してください。
アメリカ向けの越境ECで利益が残りにくいのはなぜですか?
国内の販売にはない費用が重なるためです。Basicプランの場合、海外カードの決済手数料は3.9%で、ドルで決済を受けると通貨換算手数料2%がかかります。さらに関税、国際送料、通関の手数料、返品の送料が加わります。価格は、これらを足した金額から逆算して決めましょう。
日本郵便でアメリカに商品を送れますか?
送れます。日本郵便は2025年8月27日から米国宛ての販売品などの引受を停止しましたが、2026年4月14日に指定郵便局で一部を再開し、10月15日からは原則としてすべての郵便局で引き受けています。書状と郵便葉書を除き、2,500米ドル以下の物品を含む郵便物は、ZonosやSafePackageのアプリなどで事前申告の登録が必要です。発送前に日本郵便の最新のお知らせを確認してください。
アメリカ向けにはShopify Plusが必要ですか?
多くの場合、必要ありません。Shopify Markets、ドル建ての価格、翻訳、関税の徴収は全プランに含まれます。地域ごとにストアの内容を変えたい場合はAdvanced以上が必要です。Plusは月額368,000円からなので、Advancedで足りない機能が出てきた段階で検討すれば十分です。
アメリカ向けのストアづくりを相談する
今のストアにアメリカのマーケットを加えたい、英語のストアを新しく作りたいなど、まずはLive Chatでご相談ください。日本語で書き込めます。オンライン面談の予約ページは英語です。
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